母乳は出過ぎもつらい、母乳分泌過多のときの対処法

母乳育児をしていて、「母乳の出が少ないような気がする」というような母乳不足感のあるママに出会うことはよくあることです。

その一方、乳腺炎を繰り返していたり、授乳をしているときに赤ちゃんがよくむせたり、明らかに赤ちゃんが飲む量よりも多く分泌していて、おっぱいの張りに悩まされるなど。

母乳の分泌が過多傾向のあるのではないかと考えられる状況のママにも出会うことがあります。

母乳の出が少ないのではないかと悩むママがいるのと同じように、母乳が出過ぎてつらいと感じているママもいます。

この記事では、母乳分泌過多で悩むママが快適に母乳育児ができるよう、母乳分泌過多のときの授乳の工夫や対処法について解説していきます。

母乳分泌過多とは

「母乳が出過ぎている状況」

需要(赤ちゃんが欲しがる量)と供給(母乳分泌量)のバランスが取れておらず、赤ちゃんが飲めないほどのたくさんの母乳が分泌される。

原因となるもの

もともと母乳は、赤ちゃんが欲しがるときに欲しいだけ時間を制限することなく授乳することで、赤ちゃんの食欲に合う分泌量が得られるような仕組みとなっています。

  • 1回の授乳で5分ずつなどの短時間での切り替え授乳
  • 授乳する前後での搾乳(前搾りや後搾り)
  • 乳腺炎になることへの不安からの搾乳

上記のような習慣があると、母乳分泌過多を引き起こしやすくなっています。

これ以外にも、ホルモン異常や薬剤の影響が関係していることもあります。

母乳分泌過多のサイン

赤ちゃんの場合

  • 授乳中にむせる、咳き込む、口から母乳が溢れる
  • 身体を反らせて落ち着きがなく、授乳を続けるのが難しい
  • おっぱいをくわえてもすぐ離して授乳が続かない
  • 吐き戻しが多い
  • うんちが緑がかっていたり水っぽくなっている

ママの場合

  • 授乳した後もおっぱいが張った感じがある
  • 授乳後すぐに母乳が湧いてくる感じがある
  • 授乳していないときも、母乳パッドに母乳がたくさん漏れる
  • 乳腺炎を繰り返す

授乳の工夫

まずは、授乳回数や1回の授乳時間の制限をすることなく、赤ちゃんが欲しいときに欲しがるだけ、という授乳スタイルとしましょう。

授乳姿勢は、リクライニングの姿勢をとることをおすすめしています。

この姿勢は重力の力を利用できるので、おっぱいを深く含ますことができます。

そして、余分な母乳は口から出ていくようになるのでむせにくくなります。

おっぱいの張りが強く射乳の勢いが強いときには、授乳前に圧抜きをしましょう。

乳輪の辺りを圧迫して乳汁を少し排出させておくと、射乳の勢いが落ち着き、むせることが少なくなります。

搾乳器で搾乳をすると搾りすぎてしまう傾向にあるので、手での搾乳をおすすめしています。

乳腺炎を経験したことのあるママは、その不安から予防的に搾乳をしていることもあります。

搾乳のしすぎはかえって母乳の分泌を増やすので、不要な搾乳は控えましょう。

母乳分泌過多や乳腺炎と食事制限や水分制限には、科学的根拠はありません。

ときに厳しい食事制限や水分制限をしているママに出会うこともありますが、不要であることをお伝えしています。

母乳の分泌量を調整する方法

上記にある、授乳の工夫を試してみても改善がみられないときは、以下の方法を助産師さんや母乳育児の専門家と一緒に伴走してもらいながらやってみましょう。

ブロックフィーディング

片方のおっぱいからスッキリするまで飲ましきる方法。

おっぱいがやわらかく(ふにゃっとする)まで飲まします。

赤ちゃんが欲しがるときに、一定の期間(3〜4時間)は片方のおっぱいからだけ授乳をします。

そして、次の授乳は反対側のおっぱいから飲ませます。4時間でやってみて改善されない場合は、6時間に延ばすこともあります。

ブロックフィーディングは5日以上は続けないようにしましょう。

※時間を気にせずに「午前中は右からのみ」「午後は左からのみ」「夜は右からのみ」などと決めて授乳しても良い。

(わたしの場合は、2回ずつ同じ側からのおっぱいから飲ましたら良いよ、とお伝えすることが多いです)

母乳の中には、乳汁分泌を抑制するタンパク質が含まれています。

反対側のおっぱいが母乳でいっぱいになることによって、母乳の分泌を減らしていくことができます。

フルドレナージ&ブロックフィーディング

授乳を開始する前に、両方のおっぱいから母乳を出しきります。(ふにゃっとするまで)

手での搾乳は大変なので、電動搾乳器を使用することをおすすめします。

その後、出来るだけ早く授乳を開始します。

両方のおっぱいを飲ませてオッケーです。赤ちゃんは脂肪分の多い母乳を飲めるようになるため、満足した様子がみられます。

その後は、赤ちゃんが欲しがるときに片方のおっぱいだけから授乳をします。

これを3〜4時間おきに交互にし、反対のおっぱいはパンパンにさせます。時間はおっぱいの状態にもよりますが、6時間に延ばすこともあります。

まとめ

出生直後より赤ちゃんの欲求にあった授乳方法をしていれば、母乳を欲しがる量と分泌される量のバランスが取れて母乳育児は軌道に乗ります。

何らかのきっかけで母乳分泌過多になっている場合には、記事を参考に授乳の工夫をしたり、助産師や母乳育児の専門家に支援を得たりしながら改善していきましょう。

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